クヌギ・コナラ
谷津を囲む奥山側と守谷小学校側の台地は雑木林や屋敷林に囲まれた集落と畑が多く見られる。
雑木林の二大主役として知られるのはクヌギ・コナラで、かつては落ち葉や枯れ枝は堆肥の
原料や燃料として農業には欠かせないものであった。この2種は成長も早く、どちらも10~15年で伐採して、薪や炭の原料にされていた。その切り株からは沢山の「ひこばえ」とか「萌芽」と呼ばれる新芽が成長し、これを数本だけ伸ばすと10年くらいでまた、伐採することができた。正に再生可能
な原材料だったと言えるだろう。
この2種はよく似ていて、まず幹の表面が粗いのがクヌギ、また葉の中心部の幅がひろいのがコナラであるが、これらは見分けにくい。写真のように実を見れば、一目瞭然で丸い実はクヌギ、細長い実はコナラである。中心に爪楊枝をさしてコマにするのはクヌギが良い。
エノキ
エノキは木偏に夏と書き、葉は元から3本の脈が走り、秋の黄葉はきれいである。
実は赤茶色の球でかすかに甘く食べられる。また、エノキの葉は日本の国蝶のオオムラサキが食する。
この辺りではオオムラサキは生息していないが最近、アカボシゴマダラというエノキの葉を食べる外来の蝶が守谷市でも見つかっている。この蝶は年に2、3回繁殖し、オオムラサキやゴマダラチョウと食性が競合するので、在来種にとっては脅威になっていくようである。そのため現在は茨城県自然博物館では駆除しているという。
スダジイ・シラカシ
両種とも葉が厚く、冬も葉をつけている大木で照葉樹と言われる。スダジイは神社や台地の南斜面に多く見られる。実は「椎の実」で,中が白くほのかな甘味があり、炒って食べるとアーモンドのような味がする。
シラカシは材が白く、割れにくいので木刀
や農具の柄に用いられた。
クスノキ
葉をちぎって手でもむと良い臭いがする。
これはタンスなどに入れる防虫剤の樟脳の原料でこうした活動を子どもにさせることは五感を刺激するよい体験になる。
クスノキは常緑広葉樹で木偏に南と書くことからもこの木は南方系であることをうかがわせてくれる。
タラノキ
タラノキは数メートルになる木で幹だけでなく、広げた葉の先までトゲがある。
若芽は山菜として余りにも有名で、次々と芽をむしり取られることが多い。
1本につき1個の芽を取るような、節度ある採取が望まれる。
スギ
スギは我が国の特産で、幹が真っ直ぐに伸び、大木となる。
古くから建築材として珍重され、広く植林されている。
春先花粉を大量に飛ばし花粉症の原因になっている。
サシバやオオタカの主たる営巣木であるが、枝や葉が生い茂っているので巣を発見する
のが難しい時もある。
ヒノキ
ヒノキは第1級の建築材で、幹は真っ直ぐで独特の香りがある。また、葉には抗菌作用がある。
オオタカやツミ等の猛禽類は子育ての時に運び込んだ肉類の腐敗を防ぐために巣に沢山の枝葉を運び入れる。
従って猛禽類の子育てを観察する時に緑の枝葉があればヒナが順調に育っていると推察される。
コブシ
当地の郷州沼崎線の東側湿地帯の端に、春先一番に白い花を付けるのがコブシである。
「北国の春」にもうたわれるこの木の花は有名であるが、実はあまり知られていない。
少しどぎつい赤いコブのような形状の実である。
ケヤキ
ケヤキは台地によく育生して、屋敷林や鎮守の森等で見事な大木が見られる。扇を開いたように枝を広げた姿と美しい木目は建築材や家具材に使用される。
特に日本の家屋で大黒柱や梁に使われるが、とても固く、のこぎり等で裁断するのは大変である。
エゴノキ
エゴノキは雑木林に生える中高木で初夏横に張った枝に白い花を付け、晩秋のころ小さなアーモンド型の実を付ける。
木の実は毒があるが、なぜかヤマガラは平気なのか、好んで食べている。
マツ
マツは庭園や並木に植えられる大木で
守谷市の木になっている。かつては雑木林を構成する重要な樹木で薪や炭の原料や建築材に使われていたが、最近はマツノザイセンチュウの害で枯れてしまったところが多い。
このため守谷市では、平成11年ころ市民活動の一環として植栽活動を行い、北園森林公園
にたくさん植えた。現在はかなり大きくなっている。
ウツギ
ウツギは畑の境界等に植えられる小高木
で初夏白い花を付ける。ちょうどこのころホトトギスがわたってきて、「夏は来ぬ」の歌詞にも歌われているが、匂いはあまりない。
ウツギはまた、漢字で「空木」と書く。
これは茎の中が空になっているためてある。
カヤノキ
カヤノキは常緑の針葉樹で大木になる。
その幹は最高級の将棋盤に加工される。また、枝も皮を剥くと光沢のある白地でとてもきれいな渓流釣のタモ網の枠になるがこれも高級品になる。
子供のころ、その実を削って中身を出して簡単な笛を作った覚えがある。
キリ
キリは言わずと知れたタンス等の家具になる。
昔は女の子が生まれると将来の嫁入りタンス用にキリの木を植えたという。キリのタンスは古くなっても、削りなおすと何度か使用できるという。
カマツカ
カマツカは田や畑の境界に植えられた。
低木で高さは約3m程度。春に梅に似た白い花をつけ、秋に小豆大のナツメ型の真紅の実を付ける。材は固く弾力があり、その名は鎌の握りの部分や柄に利用していたことに由来する。
ガマズミ
ガマズミは雑木林の縁に生える落葉の低木で丸い手の平ほどの葉を向かいって付ける。
初夏に白い花をつけ、秋が深まると砲弾形の実がしだいに赤くなり、酸っぱさと微かな甘味は小鳥だけでなく、人間も食べられる。
また、果実酒としても色鮮かな、いい飲み物になる。
ゴンズイ
ゴンズイも同じように所に生える落葉の低木で、初夏枝先に細かな黄緑の花を付ける。
秋には径1センチほどの実を付け熟すと割れて内面の真紅とつやのある黒い種子が目立つ。
アケビ
アケビは落葉のつる植物である。つるは幹となり径2センチくらいになる。
春、赤紫の細かな花を房のようにたれ下げる。
秋は大きな皮の実を付け、これが割れると白い果肉の中に黒い実がたくさんある。
この果肉は食用になり、口に含むととても甘いが、現在は食べる人はあまりいない。
尚、東北地方では皮に味噌を塗って焼いて食べるとほんのり苦みがあって酒の摘みにあうと言う。また、春先の新芽は天ぷらにして食べると美味である。
ヤマユリ
ヤマユリは守谷市の花である。
半日陰の草原や明るい林に生える。
草丈100~150センチで笹の形の葉の先端にユリ科最大の花を付ける。
この花は匂いも強く林の中に甘い匂いが漂う。